
外部講師(医療者)を活用したがん教育
出張授業の準備をはじめよう
1| はじめに
がん教育は、「がん」そのものを教えることが目的ではありません。
子どもたちが自分や周囲の健康について考え、情報を正しく理解し、行動につなげる力——ヘルスリテラシーを育むための“教材”として、がんを扱います。
本サイトでは、主に医療者と教員が協働して、子どもたちの健康観やがん患者への理解を深める授業づくりを支援します。
2| がん教育について(文部科学省より抜粋)
2-1| 目標
- がんについて正しく理解することができる
- 健康と命の大切さについて主体的に考えることができる
2-2| 内容
- がんとは
- がんの種類とその経過
- 我が国のがんの状況
- がんの予防
- がんの早期発見・がん検診
- がんの治療法
- がん治療における緩和ケア
- がん患者の生活の質
- がん患者への理解と共生
3| がん教育の手順
授業の日が決まり、外部講師と教員でどのように準備を進めていくか、下記手順を参考にしてください。
| 外部講師 | 教員 |
|---|---|
| 打ち合わせシートに沿って、授業内容や配慮事項などを確認する | 授業のめあてについて設定し、外部講師に伝える 授業の形式について相談する 授業スタイルあれこれ |
授業準備の時間を考慮し、授業日の1ヶ月前に打ち合わせをすると余裕をもって準備ができる。方法はオンラインでも対面でも、両者の都合に合わせて。
| 外部講師 | 教員 |
|---|---|
| 事前アンケートを教員に依頼する場合は ・実施フォーム ・実施時期 ・回答の共有方法 など確認しておく | 事前アンケートを実施し、回答を外部講師と共有する |
事前アンケートを実施することで、事前に児童生徒の理解レベルや質問を確認することができる。授業のねらいによって、知識の獲得に着目したい場合と、認識を確認したい場合とでアンケートを使いわけるとよい。
| 外部講師 | 教員 |
|---|---|
| スライドや配布物などの最終資材は事前に教員に確認してもらう | 外部講師の資材を最終確認し、内容のみならず発達段階にそぐわないと判断される場合は修正を依頼する。その際は修正案を添えるとよい。 |
最終確認をすることで、発達に合わせた授業の展開が可能になる。また、教員主導の時間がある場合、外部講師のメッセージとの整合性を確認する。
| 外部講師 | 教員 |
|---|---|
| 遅くとも授業開始の15分前には現地に到着し、音響や映像の確認をする | 講師対応、授業実施、授業のフォローなど |
| 外部講師 | 教員 |
|---|---|
| 事後アンケートを教員に依頼する場合は ・実施フォーム ・実施時期 ・回答の共有方法 など確認しておく | 事後アンケートを実施し、回答を外部講師と共有する |
事後アンケートは、外部講師および教員には授業の評価として活用でき、児童生徒には知識や認識定着の機会となり得る。
| 外部講師 | 教員 |
|---|---|
| 授業に参加した教員からの感想や意見、児童生徒の授業後の様子などを外部講師と共有する |
フィードバックは、次年度対策のみならず外部講師や教員のモチベーション向上に欠かせない。事後アンケートを外部講師と共有するタイミングで一連のプロセスについてフィードバックするのも1つ。
4| 授業スタイルあれこれ
がん教育の授業スタイルは、学校や地域、外部講師(医療者やがん経験者)・教員(養護教諭や担任、学年主任など)の関わり方によってさまざまです。例えば、がん経験者は、「生きる」という当事者ならではの視点から、実感や希望を子どもたちに伝えることができるよさがあります。
本サイトでは、外部講師(医師)と教員が協働して授業を実施することで、医学的な正確さと教育的な親しみやすさの両面を活かした、より深い学びの提供を重視しています。生徒が自ら問いを持ち、講師や教員との対話を通じて考えを深め、生活に根ざした学びへとつなげていく——がん教育は、まさにそのような学びの場として機能します。ここでは、実際に行われた4つの授業スタイルをご紹介します。すべて学校医が外部講師をつとめたがん教育の取り組みです。
※紹介する授業スタイルはあくまでも一例です。学校や地域の実態、教員や外部講師の状況に応じて、無理のない範囲で柔軟にご活用ください
4-1| 小学校
- 外部講師レクチャー+教員主導標語大会
外部講師ががんの基本的な知識や予防についてレクチャーを行った後、教員が中心となって「がん予防標語大会」を実施します。児童生徒は、外部講師から提供された知識をもとにグループワークを実施することで、他者との対話を通して自己の考えを広げ、自分の言葉で予防の大切さを表現することでより理解を深めることできます。
学習指導案①
ワークシート① - 外部講師レクチャー+教員のがん体験談+外部講師まとめ
外部講師による医学的な説明の後、教員が自身や家族のがん体験を語ることで、授業にリアリティと感情的な深みが加わります。児童にとって「がんは身近な問題である」と実感できる構成です。最後に外部講師がまとめを行い、授業全体を振り返ります。
学習指導案②
スライド② - 外部講師レクチャー+教員の板書+外部講師質問コーナー+教員によるまとめ
外部講師の話を教員が板書で補足しながら進行し、児童の理解をサポートします。レクチャーの後には質問コーナーを設け、児童の疑問に答える時間を確保。最後は教員が授業のまとめを行い、学びを整理します。
学習指導案③
4-2| 中学校
- 外部講師レクチャー+区のがん検診に関する資材配布
外部講師のレクチャーに加え、区が提供するがん検診に関するパンフレットや資材を配布することで、地域の取り組みとつなげた授業になります。生徒が家庭で話題にしやすく、地域全体で健康意識を高めるきっかけになります。
学習指導案④
5| 児童生徒が誤解しやすいポイント
がん教育においては、児童生徒の誤解だけでなく、教員や外部講師が無意識に抱きやすい認識のズレも存在します。本コーナーでは、教育現場で生じやすい誤解のポイントを整理し、正確で伝わりやすい授業づくりを支援します。
5-1| がんの要因・予防について
- がんと生活習慣の関連付けを強調しすぎると、がん患者への偏見を生んでしまうことがあります。「望ましい生活習慣を送ることでがんになるリスクを減らすことができる」「がんになった人がみんな生活習慣が悪かったわけではない」ことを伝え、誤解を与えないよう配慮が必要です。
質問コーナーQ6
なお、小児・AYAがんは生活習慣が原因となるものではありません。 - がんの要因の一つとして感染症があります。がん自体がうつるわけではないことを説明し、がんが風邪のようにうつるという誤解を与えないように配慮します。
質問コーナーQ7 - がんの要因の一つとして遺伝があります。がんは遺伝子に傷がついた異常な細胞が無秩序に増殖しますが、それは親から子に遺伝するわけではありません。「遺伝するがんもあるが、ごく一部である」ということを伝え、がん経験者が家族にいる場合に過度に不安を与えないよう配慮します。いわゆる「がん家系」という言葉は遺伝性腫瘍とは異なるケースで使用することがほとんどです。
質問コーナーQ8
5-2| 早期発見・がん検診について
- がん検診によって発見された早期がんは治癒する可能性が高いですが、そのようながんは一部であり、がん検診は万能ではありません。がん検診の効果を強調しすぎることでがんになった人はがん検診を受けなかったからという誤解を与えないよう配慮します。
- 早期がんに関して5年生存率9割であるがんもありますが、いまだにがんは日本人の死因のトップであり、がんの種類によっては早期発見が困難ながんや治癒困難ながんも存在することを丁寧に説明します。
質問コーナーQ11
質問コーナーQ13 - がんは治るものから治らず命に関わるものまで人それぞれで状況は異なります。ネガティブなイメージを払拭すべく「がんは治せる」といった極端な情報提供は誤解を与える可能性がありますので注意が必要です。あくまでも、科学的な説明によって不安を軽減させることががん教育の目的の一つです。
質問コーナーQ11
質問コーナーQ13
【出典:がん教育における配慮事項ガイドライン(全国がん患者団体連合会)】
6| 質問コーナー ~授業で出たリアルな声~
子どもは時に、大人の想像を超える鋭い質問を投げかけてきます。「どう答えたらいいのか…」と一瞬戸惑うような問いも、子どもたちが授業を通して真剣に命や健康について考えている証です。
本コーナーでは、実際のがん教育の現場で出た質問と、それに対する回答例を紹介します。現場のリアルな声を通して、授業づくりのヒントや生徒の関心の広がりを感じてください。
6-1| 小学校
がんの発生
Q1 がんってどんな形をしていますか?
授業を聞いて、さらに知りたくなった子どもからの質問ですね。
(例)
「がんは、細胞レベルだったものが、体の中で勝手に分裂して増えていって、かたまりになります。その形は、丸っぽいもの、ゴツゴツしたもの、いろいろあります。できた場所によって違います。」
Q2 がんは何種類ありますか?
分類の仕方によって種類の数はかわってきます。大事なことは分裂するすべての細胞からがん細胞ができる可能性がある、つまり血液も含めて体のあちらこちらにできる可能性があるということを理解してもらうことです。
(例)
「がんは体の中の細胞が異常に増える病気なので、細胞がある場所ならどこでもできます。つまり、たくさんの種類があります。100種類以上あります。細かく分類するともっとたくさんあります。」
Q3 どうして細胞が分裂するときにコピーミスが起こるのですか?
こちらの質問は、授業で分裂をする時にコピーミスを起こす、と説明を受けたうえで、さらに詳しく知りたくなった証ですね。ポイントは、
- 細胞は自分をコピーする時に(分裂)、設計図を書き写している
- それはとても細かい作業なのでたまに間違えることがある
- まちがいがたくさん積み重なるとがん細胞が増えてかたまりになるということです。
(例)
「細胞が分裂するときには、中にあるDNAという設計図をコピーしています。このコピーはとても細かい作業で、量も多いから、時々間違えてしまうのです。みんなが、分厚い本を手書きで写すとたまに字を間違えるのと同じです。間違いを消しゴムで消してくれる係が体の中にいるのですが、間違えが増えると直しきれなくなります」
Q4 がんは一度に2-3個できますか?
通常は1つですが、重複がんの可能性もあり、その確率は10-20%といわれています。
(例)
「がんが一度に2-3個できることも、まれにあります。1つの場所に1つだけできることが多いけれど、同じ場所に違う種類のがんができることも時々あります。また、体の違う場所に別々にできることもあります。」
がんの疫学
Q5 どうして日本ではがんと診断される人が増えているのですか?
日本人のがん粗罹患数(年齢構成を含めた実際の診断数)は、1980年では人口10万人あたり44.85、2020年では78.61と増えているように見えますが、2020年の年齢調整罹患率(1980年の人口構成で2020年を評価する)は1980年と同じです。実はがんのなりやすさはほとんど変わっていないといえます。ポイントは、がんは年齢とともに増える疾患であり、日本は長寿国になってきたということです。Q3の歳をとるとコピーミス細胞が増えるという話とつなげると理解が深まるかもしれません。
(例)
「日本は、長生きする人が増えてきていますよね。がんは年をとるとできやすくなる病気なので、長生きする人が増えるとがんと診断される人も増えるね。それから、昔より検査の技術がよくなって、小さながんも見つけられるようになったことも原因の一つです。ただし、数字の見かけ上は増えていますが、実際がんのなりやすさ自体は昔とあまり変わらないといわれています。」
がんのリスク
Q6 パパが最近電子タバコに変えたのですが、電子タバコもがんのリスクになりますか?
この質問のように、おうちの人が体に悪いことをしていると受け取ることで、おうちの人が責められていると感じ、子ども自身も傷つくことがあります。しかし、疾患の仕組みを正しく知り、自分やおうちの人を大切に思う気持ちを育てることが大切で、学校健康教育が目指していることのひとつです。
(例)
「とてもいい質問ですね。おうちの人のことを心配している気持ちが伝わってきました。やさしいですね。電子タバコは普通のタバコよりも煙が少ないし、匂いもあまりしないから、体にやさしいのかなと思う人も多くいると思います。おうちの人が電子タバコに変えたのは、体のことを考えてのことかもしれませんね。でも、電子タバコの煙にも同じように体に悪い成分がはいっているということが少しずつわかってきています。まだ長い目でみてわからないこともあるけれど、みんなで健康のことを考えるのは大事だね。また気になることが出てきたら、先生に相談してみたらどうかな。」
最後に「自分が大人になったらどうしたい?」と未来に向けた質問で返すのも一つです。
Q7 なぜ感染症ががんのリスクになるのですか?
リスクに「感染」がでてきますが、ピンとこない子どもは多いと思います。がん自体は感染しないから、がんの人のそばにいても大丈夫ということを繰り返し伝えることも大切です。授業の中で、HPVやピロリ菌、B/C型肝炎ウィルスに触れている場合は、復習をしながら説明するとよいでしょう。触れていない場合は、これらの代表的なウィルスや細菌について挙げると理解しやすいと思います。
(例)
「感染症の中には、体の中で長い間炎症を起こし続けるウィルスや細菌がいます。そうした炎症が長く続くと、細胞の設計図(DNA)に傷がついてコピーミス細胞(がんの元)が生まれやすくなります。でも、ワクチンで感染自体を予防したり、治療薬でウィルスや細菌をやっつけてがんを予防することもできるので安心してください。みなさんは生まれてすぐにB型肝炎のワクチンを打っている人がほとんどですし、小6から高3まではHPVワクチンで子宮頸がんのリスクを下げることができます」
Q8 生まれつきがんになりやすい体質というのはどのような体質ですか?
遺伝性腫瘍の特徴は、家族の中に若い年齢でがんになった人がいる、同じ種類のがんが家族の何人かに起きている、がんになりやすい遺伝子の変化を持っていることがある(検査でわかる)ということですが、この体質があっても必ずがんが発症するわけではないということを伝えるのがよいでしょう児童生徒が誤解しやすいポイント。自分の体を知ることが、未来の健康につながるという前向きなメッセージにすると、児童生徒の安心感と理解が深まります。
(例)
「細胞の設計図が書かれた遺伝子があります。この遺伝子に生まれつき小さな変化があると、がんになりやすい体質になります。がんと診断された人のうちの10人に1人くらいはこのような体質を持っているといわれています。そして、この体質があっても、必ずがんになるわけではありません。がんになりやすいけれど、ならないこともあります。」
Q9 お菓子を食べたらがんにかかりやすくなるのですか?
お菓子を食べ過ぎること自体が直接がんのリスクになるというエビデンスは現時点でありませんが、例えば脂質や糖質のとりすぎによる肥満や糖尿病は、がんのリスクを高めます。
(例)
「お菓子を食べること自体ががんの直接の原因になるわけではないけれど、運動もせずお菓子を毎日食べすぎて、太りすぎたり、将来糖尿病になったりすると、がんにかかりやすくなります。また、食前にお菓子をいっぱい食べてお腹がいっぱいになって、バランスの取れた食事がとれなくなることもまたリスクにつながります。ただし、体の大きさや体質は人それぞれ。誰かを悪くいう話ではありません。これからの自分の体を大切にする方法を一緒に考えましょう。先生もお菓子大好きです。だから、量とタイミングを考えて食べよう。」
Q10 マーガリンに発がん物質が含まれていると聞いたことがありますが本当ですか?
マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は、心臓病やがんの可能性を高めるとWHOなどが報告しています。しかし、日本では摂取割合が低く、また、企業の取り組みでトランス脂肪酸の含有率は低下しているようです。トランス脂肪酸だけでなく、赤肉(ヘム鉄)、ポテトチップス(アクリルアミド)、人工甘味料、赤色3号、青色1号などのタール色素なども発がんの可能性についていわれています。しかし、これらはすべて、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられます。
(例)
「たしかに、マーガリンには体に悪いかもしれない成分がほんの少しだけはいっていることがあります。お菓子やパンにも含まれていることがあります。でも、普通に食べる分には心配はいりません。ほかにもいろいろ発がん性物質といわれるものもあるけれど、毎日大量に口にするのでなければ心配はいりません。」
がんの診断/症状/治療
Q11 がんは早期発見すると治るものもあると言っていましたが、手遅れだと死んでしまうのですか?
このような質問はとても繊細で、命や死についての不安を含んでいます。事実をやさしく伝える必要があるため一瞬回答にためらうこともあります。一方で、このような質問がきたらヘルスリテラシーを育てるチャンスです。命の価値は治るかどうかで決まらない、がんになってもその人の人生や存在の価値は変わらないというメッセージも大切です。
(例)
「がんは早く見つけて治療をすれば治ることもある病気です。でも、発見しにくいがんもあって、見つかるのが遅くなると、もとの健康な時と同じように元気に過ごすことが難しくなったり、命にかかわることもあります。それでも、今は治療が進歩していて、がんが進んでいても長く元気に過ごせるようになってきました。がん検診も大切だけれど、それだけではなくて、がんにかかりにくい生活を心がけることや、がんになった人を支えることもとても大事です。そして、治らなくてもその人らしい時間を大切にして過ごしている人もいるし、亡くなることは「生き切った」ということであり、その人の生き方は消えません。」
Q12 がんになったらどこが痛くなるのですか?
がん=痛みというイメージをもつ児童生徒が多いようです。がんについて正しく知るよいチャンスです。
(例)
「がんになると、痛みがでることもあるし、でないこともあります。痛みがでるかどうかはがんができた場所や広がり方によります。例えば、骨にがんがあると動いた時に痛みがでたり、お腹にがんがあると食べた時に痛くなったりすることがあります。また、がんが広がると、周りの神経や臓器が押され痛くなることがあります。痛みの神経と関係のないところにできたがんは、いくら大きくても痛みがでないこともあります。」
→痛みが出た時は、痛み止めや放射線治療で対応することで、痛みをコントロールできることが多くなってきた、というメッセージも加えたらどうでしょうか?
Q13 なぜ、治らないがんがあるのですか?
この質問はとても本質的で、不安を感じていることもうかがえます。
(例)
「とてもよい質問ですね。がんは治ることもあるし、治すのが難しいこともある病気です。治らないことがあるのは、例えば、がんが体の中で広がってから見つかった時や、種類によって治しにくいがんもあります。また、がんができた体の部位によっては、手術や薬が使いにくいこともあります。あるいは、年をとっていたり他の病気をもっていたりして治療に使える力が落ちていることもあります。」と解説したうえで、「治しにくいがんになった人が安心して暮らせる社会ってどんな社会だと思う?」など問いかけるのも一つです。
がんと暮らし
Q14 がんになったら入院するのですか? / がんになったら外出できますか?
がん=入院というイメージをもつ児童生徒が多いようです。がんについて正しく知るよいチャンスです。
(例)
「がんになっても入院しない人もいます。手術をするときや特別な抗がん剤治療を受ける時、あるいは体調を整えるために休む時などに入院することもあります。でも、入院せずに仕事をしながら病院に通って治療する人もたくさんいます。体調がよければ、買い物に行ったり友達と会ったり、旅行に行く人もいます。」
Q15 がんになっても治療して死なずに済んだら、その後の生活はどうなりますか?
がん=終わりというイメージをもつ児童生徒が多いようです。がんについて正しく知るよいチャンスです。
(例)
「治療をして体調がよくなり、元の生活に戻っている人もたくさんいます。体調を見ながら少しずつ生活を整えていくことが大事です。周りの人がいつも通り接してくれたり、応援してくれたりすると、安心して過ごせるという人も多いです」
Q16 がんの再発を予防するにはどうしたらいいですか?
現時点で最も信頼できる再発予防策は、禁煙、定期的な運動、健康的な食事、体重管理などの生活習慣改善であり、これらは米国がん協会などの主要学会のガイドラインでも推奨されています。
(例)
「がんの治療が終わったあとも、タバコを吸わない、運動や体重管理など心身を大切にすることで、がんがまた出てきにくくすることができます。」
Q17 がんになっても運動はできますか?
運動は、がん患者にとって治療の副作用軽減、予後改善、QOL向上などに寄与する重要な要素と考えられ、最近はがん関連の学会でもテーマとして取り上げられることが増えてきました。
(例)
「がんになっても、体の調子をみながら運動できます。最近では、運動ががんをできにくくしたり、治療による副作用の一部を少なくしたりするという研究も増えてきています。」
その他
Q18 子どもががんになったらどうしたらいいですか? / 小学生はどうやってがんを見つけるのですか?
0歳から14歳までに発症するがんを小児がんといい、年間約2500人が診断されています(希少がん)。白血病が多く、脳腫瘍、神経芽種、リンパ腫などがあります。多くの小児がんは5年生存率と10年生存率の差が小さく、予後が改善されてきています。
(例)
「子どもががんになることはとても少ないけれど、もしそうなっても病院でしっかり治療をして元気になる人がたくさんいます。病気になっても、おうちの人や学校の先生、お友達、そして病院の先生、看護師、保育士、とてもたくさんの人が支えます。」「小学生はがん検診がないですが、体調が悪いことがそのサインになります。何か心配なことがあったら、おうちの人や保健室の先生、担任の先生にいつでも相談してください。」
7| すぐに使える!授業スライド
文部科学省が作成した「がん教育推進のための教材 補助教材」をもとに医師用に一部改変し、30分〜40分の授業を想定して、一例として提示しました。専門領域に関わらず、がんに関する知識・認識を伝えることができるよう、スライドのメモにポイントや台本も記載しています。必要な部分をご活用ください。
8| 現場お役⽴ちQ&A
8-1| 事前準備
8-2| 学校現場
8-3| 授業後
9| 関連サイト
- ⽂部科学省HP
- 公益財団法人 日本対がん協会HP
- がん教育における配慮事項ガイドライン・全国がん患者団体連合会 企画発行
10| e-canコアメンバー(五十音順)
| 都立新宿山吹高等学校 | 副校長 | 石井健一 |
| 国立がん研究センター | 予防研究部 | 井上真奈美 |
| 日本女子体育大学 | 体育学部健康スポーツ学科 | 助友裕子 |
| がん研有明病院 | 乳腺内科 | 高野利実 |
| 国立国際医療センター | サバイバーシップ支援科 | 谷山智子 |
| 国立国際医療センター | 国際診療部 | 日野原千速 |
| がん研有明病院 | 総合腫瘍科 | 三浦裕司 |
